セミレストア Z32
Z32、初期モデルでは18年落ち。流石に旧車の部類に片足突っ込んでいるような車は多いです。
今回やらせていただくZ32は初期モデル、平成2年式、色は紺色、このカラーだけ内装も紺色と言う中々マニアックカラーです。 オーナーさんは平成4年にこのZを当時300万円近くで購入したらしいです。 それから今まで乗ってこられていると言う、色々な思い出も詰まったとても愛着ある車ででしょう。 しかしながら年月には勝てず、疲れきったZを復活させてあげたいと弊社を尋ねてきてくれました。 色々と現状を知ることから仕事は始まります。
17年もお日様にあたっていますので、ボンネットは色が飛んじゃっています。ウイングも痛みが激しいです。
リアフェンダーは板金塗装歴があるようで、パテも割れて錆が出ています。そのほかにも傷が多いです。色もあってないような・・・・・・。
そのほかにも傷、色あせは全面にあることから全塗装でボディは化粧直しします。
エンジンとミッション自体には現状では異常なし。しかし、セルモーターやオイル漏れは見受けられます。走行も14万キロ。オーバーホールでもいいのですが、この際ですのでベアエンジンを搭載することにしました。
その他、油圧シリンダーはオーバーホール。一部ベアリング、補記類は交換する箇所もあります。
下回りを点検していたら発見!
マフラーが曲がって、若干短くなっているようで寸足らず状態。この際ですので交換です。
内装には年月の経ったZ32には定番の垂れ・剥がれが発生しています。
まずダッシュボードの浮き。リペアも考えましたが、部品が入手可能でしたので交換です。
次は、シートサポートの破れ。価格面からいっても純正シートは高いのでRECAROの導入予定。
最後に、天張りのたるみ。
他にも後部シートのサイド内張りのたるみもありますが、残念ながらメーカー製造中止・・・・・・どうにも頭が痛い。
セミレストア Z32 足回り編
エンジン換装から始めようと思っておりましたが、部品の都合でまずは足、ブレーキからはじめました。
交換前。さすが14万キロ。汚れ、傷みは相当です。ネジでとまっているところは全て分解します。
再利用するパーツは点検後、黒塗りで仕上げます。いくらか見た目が良いですよね。
油圧シリンダーもオーバーホールです。ブレーキマスター、キャリパー共に洗浄、組み込みします。
ブレーキキャリパーのオーバーホールです。汚れを取り除かれピカピカに磨かれたピストンが入っていきます。
当然ブーツは新品に交換です。これだけでも抵抗が減り動きがスムーズになります。
ブレーキ廻りはキャリパーオーバーホール。ホースとローター、パットは新品交換です。
アーム、ブッシュ類は全交換。1G状態での組み込み。ショックアブソーバーはビルシュタインに変更です。
全て組み込み足回りは終了。
セミレストア Z32 VG30編
足回りも終わったところで、エンジン交換へ移ります。
今回チョイスしたのは日産純正ベアエンジンです。通常ベアエンジンと言いますと、リビルトエンジン(中古再生品)と思いがちですが、何故か日産純正のベアエンジンは全て新品部品です。理由はわかりませんが、中古部品は使っていません。その証拠に純正エンジンの返却の必要が無くまったく持って安心して使用できるのがポイントです。
※通常リビルトパーツを使用する際は、ノーマル部品(「コア」と言います)の返却が必要です。
17年14万キロ使ったエンジンに終わりを告げます。ご苦労様でした。
そしてNEWエンジンです。これからはよろしく(笑)
空っぽになったエンジンルームは、今のうちに隅々までゴシゴシ洗います。
エンジン搭載前にハーネスの補修や、各部点検、ホース類の交換なども行いました。
新品エンジンを載せ、クラッチや各種消耗部品、セルモーターやパワーステアリングポンプも交換しました。
エンジンルームを洗浄しましたので、いくらかは綺麗に見えますかね?
それとは別にECSSハーネスを全て引き直したかったのですが、こちらは残念ながらメーカー廃盤。
仕方ありませんので、個別でしたらリペアハーネスと言う部品がありますので、コイル・インジェクター・AACバルブ・クランク角センサー・スロットルセンサー・パワートランジスタ・水温センサー、これらを1つ1つ丁寧に半田で交換しました。
一見純正に見えるこのマフラー、実はHKSのマフラーです。ノーマルLookですので嫌味ないところが良いですよね。
これにてエンジン、駆動系終了。残るは、頭が痛い内装と、全塗装です。
セミレストア Z32 内装編
リア座席のトリム(内張り)・・・廃盤
天張り フィニッシャー・・・廃盤
ダッシュボード・・・メーカー在庫 ラスト2個
Tバールーフのトリムも同じく廃盤
大きく痛んでいる内装部品はこれくらい。
痛みが大きいシートとハンドルも交換ですが、アフターメーカー品に変更だから問題なし。
さあ、欠品部品はどうしましょう。
付き合いある内装業者へTEL。とりあえず見てみましょうと、部品を預けること1週間。
完成!写真では解りにくいですが、まるで新品!!こりゃ凄い!!!
しかも、新品部品に交換するよりも安く済みました。
僕はコツコツとダッシュボードの交換。
結構派手な作業に見えますが、意外と簡単に交換できるんですよ。
ダッシュボードのみ交換したところで時間切れ。
これから約3週間 塗装工場へ旅たつのでした・・・・・・。
セミレストア Z32 全塗装編
今度は塗装。
外せるものは全て外します。
モール・バンパー・ドアノブ・テールなど等・・・・・・
小さなエクボも大きな傷も全て修正します。
運転席側のリアフェンダーが痛みが激しかったので、綺麗に修正しました。出来るだけパテを使わず板金で修正し、残りをパテで仕上げていきます。
当然ですが、そのほうが仕上がりがいいです。
黄色へ変身・・・・・・うそです。
先ほどのパテを研いだ後にサーフェーサー(下地)を塗ります。
今回全塗装ですので、当然ですがサーフェーサーも全塗装。
さてさて塗りも一通り終わりました。
逆光で見えません・・・・・・反対側から見ると
「ん? 塗ったのに何で白いの?」と思われた方も多いでしょう。
これはですね 塗装部屋で塗ったのですが、小さなゴミ等がどうしても付いてしまうんですよね。
それをペーパーで研磨して平たくしているので、全体的に白いんです。
不思議なもので、ペーパーでゴミを落としてコンパウンドで磨くととても綺麗になるんですね。
ほら!
ドアは白いのにフェンダーはピカピカでしょ?
これが全塗装ですので全体を磨きます。1日仕事です。
そして塗装完成。
よく見てください。これがTH1ダークブルーパールの本当の色です。
綺麗ですよね。
セミレストア Z32 内装編2
塗装が綺麗過ぎるので、何かと気を使うようになって来ました。
ダッシュボードまでは完了していたので、残るパーツの組付けです。
それと同時にオーディオやシート、マットも新調したので汚さないように組んでいきます。
ここまでくると、結構形になってきました。
元付いていたウーファーBOXは完全に撤去してシンプルに組んでいきます。
アンプは120w×4・・・まったくオーディオの事解りません(笑)
この辺りはお客さんが指定してくれたので、僕は組むだけ。何故かオーディオに携帯電話のハンズフリーシステムが入っているとか?意味解りません。
シートはRECARO。内装カラーとマッチして良い感じです。ずいぶん綺麗になりました。
セミレストア Z32 ライト編
1枚目 使用前
2枚目 使用後?
お客さんがライトが暗いので明るいものへ変更してくれとのオーダーも頂いたのでキセノンをオーダーしたのですが、バンパーも外してるしせっかくだからとライトを外してみました。
ライトのプラスティックとレンズはシーラーで留まっているだけですので、まずはドライヤーでガンガンに炙ります。
レンズが割れないように気をつけて分離させます。
分離後が大変
・残ったシーラーの除去作業に65%
・レンズやプラスチックの掃除に15%
・新たにシーラーを流し込むのに10%
・組みつけに5%
・レンズの研磨に5%
の労力を使います??
すると一番上の写真のように綺麗なレンズになります。
わざわざライトの掃除だけでライトの脱着を行うのも大変なので、何かのついで(バンパー塗装やインタークーラー取り付けなど)に行うのがベストですよね。
セミレストア Z32 完成
感無量・・・
180km試乗してきました。
市街地~峠~高速道
4輪全てのタイヤが路面に吸い付くように走ります。
その小さな動き1つ1つがステアリングに伝わってきます。
路面の動きはステアに伝わり、車の動きは腰に伝わり、それら全ての動きはドライバーが感じ取ることが出来ます。まるでZと対話しているようにさえ錯覚します。
太陽で反射して眩しい輝きを出すボディ。そのダークブルーの深みのある色は特別な味さえも出してくれるようです。
オリジナルの良さはそのままに、いや基本に忠実に行った結果でしょうか。
スポーツカーにしかない喜び オーナーにしかわからない喜び
このような仕事を手伝わせてもらえたことを僕は大変嬉しく思えます。
2007年06月10日